[2021年6月2日更新]
傷病や高齢による排泄機能の低下などにより、自力での排尿が難しくなった場合の対応策の1つとして、排尿カテーテル(バルーンカテーテル)を利用する方法があります。排泄は、生きていくうえで必ず必要な行為であると同時に、個々人の尊厳に深くかかわる要素です。そのため排尿カテーテルを利用している患者、もしくは被介護者に対しては、健康面、精神面のどちらにおいても、配慮が必要です。
今回は、看護、介護の観点から、排尿カテーテルを利用している患者、もしくは被介護者に対して注意することをまとめました。看護や介護の職に従事されている方も、改めて復習してみましょう。
採尿バッグをかける位置は、必ず本人の身体よりも下にする
S字フックなどを利用して、椅子や車椅子、ベッド柵などに採尿バッグをかける場合は、必ず排尿カテーテルを利用する本人の身体より低い位置にかけましょう。採尿バッグが本人の身体より高い位置にある場合、採尿バッグ内の尿が逆流し、感染症などを引き起こす恐れがあります。
もしフックの長さが足りない場合は、紐などを利用し、本人の身体より低く、かつ床に採尿バッグがつかない位置に調節しましょう。
ラウンドの都度、尿量を確認する
病院に入院、もしくは施設に入所などされている方が排尿カテーテルを利用している場合、ラウンドの都度尿量は確認しましょう。可能であれば、食事の配膳や検診などで訪室するたびに確認すると良いです。
数時間の間隔をおいて訪室したにも関わらず、採尿バッグ内の尿量が増えていない場合、カテーテルがねじれたり、折れ曲がっている場合があります。自身で異常を伝えることが難しい要介護者はもちろんですが、自立度の高い方の場合は本人の動きによりカテーテルがねじれたり折れ曲がったりしやすいです。自立度の高い方においても、注意深く観察することが大切です。
子供の採尿に使う場合
たとえば、おむつをしている子供の採尿は、一般的に採尿バッグから行われます。取り付ける際には、便などが入らないよう陰部を洗ってしっかり乾燥させたうえで採尿バッグを装着します。子供はよく動くので、しっかり乾燥させてから装着しないと、途中で外れてしまう危険があります。充分に乾燥させましょう。
採尿バッグをつけたあとにバッグの先端をおむつから外に出すようにすると固定され、尿漏れが軽減されます。
居室や病室から出る際は、採尿バッグにカバーをつける配慮を忘れない
排尿カテーテルを利用している方が公共の場に出る場合は、本人、及び周りへの配慮として、採尿バッグにカバーをつけることを忘れないようにしましょう。カバーは様々な素材、形のものがありますが、水洗いできつけ外しが容易なものが望ましいです。
採尿バッグ用のカバーは、医療用品専門の販売店の他、通販ショップでも購入することができます。医療系専門商社が運営している「Heart Plus」という通販ショップでは、病院で採用されているものと同じ医療用品を個人・法人問わず購入することができます。採尿バッグのカバーだけでなく、使いやすさに定評のあるメディコン社製のラウンド型採尿バッグや低床ベッド用採尿バッグなども取り扱っています。採尿バッグの買い替えの際はぜひ利用してみてください。
排尿カテーテルを正しく利用することは、排尿障害により健康を害するリスクを減らします。患者や被介護者の健康維持や、QOL向上に直結しますので、正しい知識を得て取り扱いましょう。